東京地方裁判所 昭和39年(ワ)5469号 判決
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〔判決理由〕原告(編註、八州輸送株式会社)は原告車(編註、事業用大型ローリー車)の評価損として五〇、〇〇〇円の損害をこうむつたと主張し、なるほど(証拠)によれば、原告車の本件事故前の査定価格は四三七、八〇〇円であつたが(もつともこの査定の行なわれた時期等は明確でない)、事故および前記修理後の東京いすずにおける査定価格は三五〇、〇〇〇円にすぎないことが認められ、右両者の差額が原告主張の五〇、〇〇〇円を下らないことは明らかであるけれども、右評価算出の基準、根拠を明らかにする証拠は存しない。のみならずかりに前記査定価格が原告車の交換価値と符合するものであるとしても、これによれば事故前に四三万余円の交換価値を有した中古車のために三六万円もの修理費用を投じながら、修理後の価値は修理費にも満たない三五万円に止まるのである。右の数字だけからしても、原告車の収益力(編註、月間運送料一九〇、〇〇〇円の約で出光興産株式会社の常傭車として使用されていたものと認定されている)を前提とするいわゆる営業価値が、事故の前後を通じ前記査定価格を越えるものであることは容易に推認することができ、又そうであつてはじめて本件における三六万余円の修理費用の賠償請求を是認することができる。一般的には物損事故において、修理費の他に評価損の請求が可能であるとしても、本件では原告は高い営業価値を前提としてのみ是認される修理費を請求しているのであるから、他方において低い交換価値の評価を計算の基礎とする評価損を請求することは失当であるといわなければならない。(楠本安雄)